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渋谷・コクーン 歌舞伎第十二弾
盟三五大切 (かみかけてさんごたいせつ)

串田和美 演出・美術

薩摩源五兵衛実ハ不破数右衛門 / 中村 橋之助             
芸者妲妃の小万実ハ神谷召使お六 / 尾上 菊之助          
船頭笹野屋三五郎実ハ徳右衛門倅千太郎 / 中村 勘太郎                        
芸者菊野 / 坂東 新悟                    
若党六七八右衛門 / 中村 国生
徳右衛門同心了心 / 笹野 高史                    
船頭お先の伊之助 / 片岡 亀蔵   
富森助右衛門・家主くり廻しの弥助実ハ神谷下部土手平 / 坂東 彌十郎

コクーンでの「盟三五大切」の上演が、
平成10年以来というのだから、
あの日から13年が経過したことになる。

衝撃的だったのは、「第四場 五人切り」の演出。
主人公の源五兵衛(実は不破数右衛門)が、執拗に
人を殺す一軒家の惨劇の場。月夜の晩で、
青い月の光が照らし出す一軒家が回り舞台の上で回転する。
観客は映画の長回しを見ている感覚で、(いや、青い月の視点でかな)
惨劇の目撃者となる。これは凄かった。

あの演出をもう一度、観たくって出かけて行ったというのが本音。

この「盟三五大切」は、鶴屋南北作のどろどろしたお話です。
忠臣蔵外伝であり、源五兵衛(実は不破数右衛門)は、
塩冶浪士(赤穂浪士)という設定です。なんとか、武士として討ち入りに
参加して「義士」となりたいけれども、塩冶家が断絶になる前に
ある事情で懲戒免職になり浪人となっている不破数右衛門。
懲戒免職を解いてもらい「義士」となるためにと、叔父が
百両の大金を用意してくれたのだが、惚れた芸者小万(実は神谷召使お六)と、
その夫、三五郎(実は徳右衛門倅千太郎)にだまし取られてしまう。

五人を殺戮し、女子供を猟奇的に殺す、その動機は、
1.惚れた女に騙された怒り
2.義士となれなかった怒り
の二つと考えるのが妥当だと思う。

しかし、今回の演出。
芸者小万に対する愛情の深さは感じられず、
「義士」になることを切望している様子も感じられなかった。

相変わらず、「第四場 五人切り」の場の演出は静と動の対比が効いていて、
回り舞台で視点が移動するのを巧みに活かした役者の動きで、
ほーっとため息をつくものだったけど、ここまで執拗に人を殺す
動機がどうも腑に落ちない。。。
芸者小万と赤子を猟奇的に殺すシーンは、歌舞伎座でも正視できないのだけど、
今回も途中から目を伏せてしのぎ、顔をあげたら、リアルなリアルな血しぶきが、
橋之助の顔を染めている。。。

歌舞伎は荒唐無稽がベースにあって、錦絵の連続のような演出がお決まり。
でも、その中で観客は主人公の気持ちを類推していくので、
案外と共感して泣いたりするものなのです。
リアルな演出でなくても、観客の心は動かせるものと思います。
とするとこの演出、やり過ぎかなぁ。そこを追求すると、観客の想像力で膨らむ余地がなくなる。
というのもあるし、源五兵衛の心理描写をやるのなら、そこに注力しないと、
共感は得られないのではないかとも思う。
悲劇と喜劇が交差する筋書きだと短い時間では、表現できないのじゃないかな。

かなり???がついたので、帰りにパンフレットを購入してみました。

実は最後の源五兵衛の回想シーンで、全身に鳥肌が立って、
串田さんが今回テーマにしたことが分かりかけた気がしたのですが、
おそらくパンフレットを読む限り、そういうことなのだと思う。

舞台の最初から最後まで、印象派の風景画のような
一枚の幕(照明の当て方で向こうが透けたり見えなくなったりする)が、かかっている。
源五兵衛は夢の中を生きているのか、現実の中を生きているのか、
自分でも判然としない。「義士」となることも、「芸者小万」を
うけ出して夫婦になることも、自分が望んでいることではない。
けど、周りの価値観が自分の人生を動かして行く。。
そういう源五兵衛の性格異常(これは現代に多発する心の病かも?)に、
光を当てたのだろう、というのが私の結論。
でも、万人に共感されるテーマではないよなぁ。。

うーん。
本能ではぞくぞくっと何かを感じているのだけれども、
ロジックでは釈然としない感じが残っています。

とはいえ、鳥肌は立つし、客席に雨が降ったり、
(着物を着ていったので、配られたポンチョをマッハで被りました)
コクーンならではのわくわく体験もあり。
何よりも13年ぶりの上演ですから、観といた方がいい、
というのが結論ではありますね。

しかし、毎度思うのは、
あのね、浅野内匠頭さん。
あなたが、かーっとなっちゃったところから、
たくさんの悲劇が生まれたのよ、と。
カチンときても、3つ数えろ。
それでも怒りが収まらなかったら、
覚悟決めて刃傷に及ぼう。。

リーダーは、我慢しなくっちゃ。
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2011.06.14 / Top↑
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