広告制作会社ブレインカフェの代表・木下のぞみが、日々思うことを綴ります。

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鈴本演芸場 五月下席 夜の部
5月29日

寄席はいいな。
まったりと5月最後の休日の夜を過ごしてきました。
台風も近づいて来ているからか、お客様も6割ほどの入り。
寄席に来なれている人が多い様子で、開演前から、
持ち込みのお弁当の包みを開けて、腹ごしらえをする人が7割。
マイ水筒、缶ビール、ワンカップ、、、。
寄席は食べたり飲んだりが自由なところも、好きです。
まったくもってお茶の間感覚。

喜多八師匠がトリだからか、ご婦人の姿が多かったようです。
どこか具合でも悪いのかしら?と母性をくすぐる雰囲気の師匠です。
「笠碁」は雨降る晩にぴったりの噺。馬鹿馬鹿しい意地を張りあう、
男同士のかわいらしい喧嘩も好きだし、雨が降る風景、音、におい、
扉の向こうの切り取られた往来の風景(これは映画的)、、、といったものが
鮮やかに心の中に描き出され、あたかも自分がそこにいる気になってくる、
臨場感、というのかな、そういうものに浸れるのも好きです。
初めての「笠碁」は権太楼師匠ででしたが、喜多八師匠のは、元気なおじいさん。
権太楼師匠の枯れた味わいとは、また別のものでした。

チケットが取れず、なかなか聴けない白酒さんは「替り目」。
何度聴いてもいい。白酒さんにぴったりの噺。
笑わせておいて、ほろっとさせる。

そして今回の発見は正蔵師匠。
昔はちょっと噛むところが気になっていて、何度か行った
内幸町ホールも足が遠のいていたのですが、いやいやよかった。
楽しそうに落語をやってらっしゃる感じもすごく伝わって来た。
折り目正しい落語家さんは好きですが、きちっとした中に
深みが増した感じでした。また通わねば。

三遊亭歌る美 / 真田小僧
柳家さん弥 / 子ほめ
伊藤夢葉 / 奇術
柳家一琴 / 強情灸
桃月庵白酒 / 替り目
ロケット団 / 漫才
柳家小満ん / しびん
橘家文左衛門 / 千早振る
翁屋和楽社中 / 太神楽
林家正蔵 / 四段目
柳家小菊 / 粋曲
柳家喜多八 / 笠碁
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2011.05.30 / Top↑
久しぶりに山に登ってきました。
といってもハイキング、というコースです。

あいにくの雨で午後からは本降りの予報。
ガイドさんが最初に考えていたのは5時間のコースでしたが、
ケーブルカーで御岳山駅まで上がり、
武藏御嶽神社をまわって駒鳥山荘まで戻り、昼食を摂って
少し付近を散策して後は麓までまたケーブルカーで。
都合2時間半の山行となりました。

このパーティの、と格好良く切り出しましたが、
目標は「小蓮華山」です。NHK「坂の上の雲」の
エンディングで見た風景が忘れられなくなった女子二人が、
王子の居酒屋で、あの山に登ることを決心して、結成されました。
大げさな。

「小蓮華山」は簡単な山ではないので、そこへ向けて
足慣らしをして行かねばならないのですが、その第一弾が御岳山でした。

雨が降っても、奥多摩は楽しめる場所がいっぱい。
玉堂美術館へ寄り、さらに「澤乃井」で酒蔵見学をして、利き酒をして、
最後に温泉に入って帰ってきました。

もちろんマイナスイオンをたっぷり浴びて、リフレッシュしました。
奥多摩は東京都なんですよね。
こんなに自然が豊富で都心からもそう遠くない。
ここに住みたい!!と刹那的に思ってしまいました。
よいところ。いまは新緑が見事。ぜひお出かけを。

スイスの登山鉄道か!?と見まごう「御岳山ケーブルカー」
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わがパーティ
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見事な山ツツジ
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シャクナゲも見事でした
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住みたい!!と刹那的に思った茅葺きの古民家
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お昼ご飯はグルメのガイドさんが腕をふるってくれました。
フランスパンにビーフペースト、あたたかなスープを添えて。
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麓にも魅力一杯。新緑が美しい
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「澤乃井」の蔵を見学。覚えたての
日本酒の知識をおさらいして、ご満悦
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利き酒もできます。ここは屋外の「居酒屋さわのすけ(だったかな?)」
気持ちのよいスペースでお酒とおつまみを楽しめます
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2011.05.30 / Top↑
キャンドルのともしびの中、
おおたか静流さんの澄んだ声が聞こえてくる。

悲しくてやりきれない
蘇州夜曲
おぼろ月夜
  ・
  ・
途中から大友剛さんのピアノも加わり、はじまった
夕べの「でんでらキャラバン 東北へ行く!チャリティイベント」。

「でんでらキャラバン隊」は、おおたか静流さん(唄)と、
大友剛さん(鍵盤)、他のメンバーで結成されたチームで、
5月29日から31日、宮城県鹿島台神社の方のコーディネートで、
東松島や石巻で保育園、避難所への音楽のプレゼントに向かいます。
この「でんでらキャラバン隊」を送るためのチャリティイベントが、
今回の「でんでらキャラバン 東北へ行く!チャリティイベント」。

会場にはドリンクや軽食、アロマの販売コーナーなどもあり、
ライブ終了後のオークションもあわせて、チャリティになっています。

おおたかさんの唄も、今の自分に染みて心が洗われましたし、
先輩(憧れの)のお店から購入したアロマも藍の石けんも自分のために使うし、
山田麻子さん(書家)が作られた紙の袋(アートです!!)も、募金という形だけど
自分が何かに使うために買ったし、オークションでは
「あらしのよるに」の絵を描いた、あべ弘士さんが絵をつけたBOXチェアーを
本気で落とそうと思って楽しんだし。。(落とせなかったけど)
自分のためにあった時間と消費なのだけど、これが人の役に立つ。
これが、エシカルな消費というものなのでしょう。

よい気分です。

寄付も受け付けているようです。

詳しくはこちらをご覧ください。


2011.05.27 / Top↑
福岡で生まれ、5歳頃まで博多で過ごしました。

ものゴコロついた頃には、
家の向かいにあった「小日向アトリエ」という
絵画教室に通っていました。
大きなお兄さんお姉さん(どのくら大きかったかはもう分からない)に
混じって自由に絵を描いていましたが、あるとき展覧会に出した
「お月見」という絵を小日向先生に絶賛されました。

父と母と当時一緒に暮らしていた父の弟(叔父ですね)と私が、
大きな月を背にして手をつないで立っている。
画面のいちばん手前に、とてつもなく大きく描かれているのは、
串にささったお団子。この構図を絶賛されました。
今思えば子どもらしいなんてことない絵ですが、
誉められたことがすごく嬉しく、ン十年経った今でも、
その時の情景を思い出します。

そういう幼少期のよい出会いに支えられたからか、
ものづくりの現場が大好きな子どもでした。
途中、普通のOL(普通じゃないかもしれないけど)の時期もありましたが、
いろいろあって、結局、ものづくりの仕事に就き、
ものづくりをする集団を見守る立場にもなりました。

ジャン=ミッシェル・バスキアの生涯を描いた、
「バスキア」という映画を観た時、アトリエ(ガレージのような)に
ウォーホルをはじめとしたアーティスト、画商などさまざまな人が
アトリエにやってきては、そこから何かが生まれるという
シーンにわくわくしました。これが、私の目指しているところだと。

「ブレインが集まるカフェのような会社に」
という社名の由来も、ここにあります。

自分自身が、デザイナー、カメラマン、イラストレーター、
さまざまな人と一つのものを作り上げている時間も幸せだし、
ブレインカフェの若い衆が会議室でわいわいと、
ブレストして盛り上がってる様を見るのも大変しあわせ。

わいがやで、ものづくり。

こういう現場が、私の幸せの原風景。

最近、特に、幸せだなと思う時間が増えてきています。
ニッポンのワザドットコムで、
楽しいプロジェクトが進行していることもありますしね。

いいのだろうか、こんなに幸せで。。

ありがたいことですね。
2011.05.26 / Top↑
櫻田落語会
(三遊亭司 / 柳家麟太郎)
5月21日(土) 18 : 30

すでに124席目。
史上最高記録更新中です。

隔月で催される櫻田落語会ですが、
3月は震災もありお流れ。4ヶ月ぶりの開催となりました。

一席目が三遊亭司さんで「宮戸川」。
二席目が柳家麟太郎さんで「佐々木政談」。

ところで好きな小説家の話。
一人は吉行淳之介。もう一人は中上健次。

吉行淳之介は、プロの文章屋であることに徹した人だと聞きます。
裏側で計算しつくしているのに、表側はうっとりするそつのなさ。
物語の設定、描く情景の意味、一行開けるかどうかの間の取り方、
漢字とひらがなのバランス。。計算しつくし、削ぎ落とした
無駄の無い文章なのに読んでいるほうにそれを感じさせない。

一方、中上健次は、「私小説」といっていいかな?、
身を削るようなたどたどしさの残る文体だけど、
心が血を流しながら文字が綴られていく感じがして、
辛いけれども心に訴えてくる。

どちらも好き。

噺家さんの好みにも通じるかな。
何度もこの話を噛み締め構成し直し、削ぎ落として自分のものにする人と、
自分の実体験が味わいになっている人と。

「宮戸川」は若い男女のちょっと艶っぽい話。

艶っぽい、といえば思い出すのが、
先代円楽師匠の「豊志賀の死」と、権太楼師匠の「短命」。
こんなに噺家さんによって印象が変わるんだ、と驚いた話。

さらに思い出すのが、向田邦子がテレビドラマ「隣りの女」で、
根津甚八に桃井かおりの口に甘栗を押し込む、というシーン。
これについて、吉行淳之介が「向田さんは男女の機微に疎い」と
感じたと書いているのですが、吉行ならば、このシーンに
艶っぽい意味を持たせるためにこうする、と書いています。
詳しくは「向田邦子ふたたび」にあります。

向田邦子ふたたび (文春文庫―ビジュアル版)向田邦子ふたたび (文春文庫―ビジュアル版)
(1986/08)
文芸春秋

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読解力と表現力と、100%をやらずに数パーセントを聞き手の想像力に委ねること。

それは、コピーライターとて同じこと。

そんなことを考えた落語会でした。
2011.05.24 / Top↑
蒲田系実演集会
(三遊亭司 助演 : 一龍斉貞鏡)
5月17日
太田区民ホールアプリコ小ホール

落語通の先輩に、立川談春は珍しい噺を演るが、
「九州吹き戻し」なんか聴いたこと無いでしょう?
と問われて、初めて珍しい噺なのだと知りました。
一度、櫻田落語会で九州男児の噺家さんで聴いた記憶が。。
となると、桃月庵白酒師匠か、三遊亭歌奴師匠なのですが、
思い出せない。メモをひっくり返しても分からない。。
ということで、司さんで二度目の「九州吹き戻し」。

この噺、江戸の元若旦那「喜之助」が流れ流れて
たどり着いた九州・熊本で一生懸命に働く。そして
大金が貯まったと知った途端に里心ついて江戸へ向かうが、
乗せてもらった船が難破して、たどり着いたのは
江戸ではなく鹿児島・桜島。という噺。

19歳までを鹿児島市で過ごした私にとって、
というより多くの鹿児島県民にとって桜島は特別な存在。
ピラミダル(といってよいかな?)な均整の取れた山影、
朝な夕なと七色に山肌を変え、悠然と煙を吐く姿が、
肝の座ったヨカニセ(よい男)を連想させる。ある知人は、
東京から帰ると家よりも真っ先に、桜島を真っ正面に拝む埠頭へ赴き、
「ただいま」と東京での物語を語るのだ、と言っていました。
私が通っていた八幡小学校、中州小学校の校歌にも、
桜島は出てきます。こんな感じ。。

作詞 / 西森しげみ 作曲 / 三界実義 
1.朝日に匂う桜島
窓辺に清く見るところ
ああ若草の意気たかく
みどりの風に胸張って
希望あかるく伸びてゆく
われらの中洲小学校

作詞・作曲 / 八幡校職員
1.あけゆく空は七色に
峰は映えたり桜島
もゆる希望も新しく
学びの庭に光あり
ああ光あり八幡校

しかし、桜島で難破は腑に落ちない。
桜島は錦江湾の中にあるから、玄界灘から嵐で
この湾内まで流されるというのはあり得ないと思う。。な。

さて、司さんの「九州吹き戻し」。
若旦那の江戸を思う純な気持ちがぐいぐい迫って来たので、
それだけに桜島に着いちゃった時、喜之助は
どんな気持ちだったのかと、心配になってしまいました。
物語に引き込まれた時は主人公の気持ちになって、
聴いているだけなのに疲れてしまいます。

喜之助に言ってあげたいのは、
まだ若いんだし、桜島だったらさ、また江戸に向かう船に
乗せてもらえるから諦めちゃダメだよ。ガンバ!
ですね。

三遊亭司 / 弥次郎
一龍斉貞鏡 / 拾い首一万石
三遊亭司 / 九州吹き戻し

一龍斉貞鏡さんは、お若く大変な美女!!
よーし、打ち上げで「どうして」で始まる質問を軽く
10個はぶつけよう、と思っていたら先にお帰りになり残念。
ニッポンのワザドットコムの取材につながる出会いに
なったと思っていたので残念でした。。
2011.05.19 / Top↑
rakugoオルタナティブvol.1
「落語の中の女」夜の部
柳家三三 / 橋場の雪
橘家文左衛門 / 子別れ
古今亭菊六 / 転宅
池田成志 / 紙入れ
草月ホール
5月14日(土)

池田成志が落語?と興味ひかれていたのですが、
気づいたのが東京かわら版5月号だったので、もう
チケットは買えないだろうと諦めていました。
そこへ先輩からのお誘い。スケジュール調整をして
出かけてきました。

宮藤官九郎の「鈍獣」「印獣」を観て受けた印象は、
グロい、恐い役がはまる役者さん。
「鈍獣」の最後のシーンは脳裏に焼き付いています。
そんな池田成志さんが、落語、しかも「紙入れ」を、
いったいどうやって演るのか。果たして着物を着るのか、
座布団に座るのか、も知らず興味津々。

緊張気味、着物は着ていましたが胸元が開き気味。
座布団に座って話し始めましたが、落ち着きが無い。
大丈夫かなー、普通に演るんだろうか。。心配。
噺の前半は正直、落語とは言えなかったけれども、
後半、池田成志ワールドが炸裂しました。
新吉の悪夢の内容も面白かったですが、
翌朝、様子を見に旦那の家に行ったときのやり取り、下げが凄い。
危ない笑顔、かまぼこ型に見開かれた目、
その瞳の奥には邪悪な炎がチロチロ燃えている。
口は逆放物線のように開かれて、凍ったような笑顔。
そんな顔で新吉に「だいじょうぶだよぉ」と言う女将さんは邪悪。
そして下げの旦那の顔も、同じく凍り付いた笑顔。

こ、これは。。
旦那も知っている。新吉、逃げなさい!奴らグルだよ!!
つづく。。

そんな余韻のある噺になっちゃってました。

普通の紙入れだと、悪い順位は
おかみさん>新吉>旦那
ですが、
旦那>おかみさん>新吉
になってしまったと読み取りました。

落語ではないな、という感想は変わりませんが、
すごく面白かったです。

文左衛門さんの子別れも、よかったなぁ。
いろいろ言われますが、心に繊細な襞がない人だったら、
あんな落語はできなかろう、と思います。

「落語の中の女」というテーマのある落語会。
とても面白い試みだと思いましたが、
最後のインタビューは蛇足かな。

Vol.2で何が起こるのか、楽しみです。


2011.05.15 / Top↑
5月11日(水)、北千住のシアター1010で催された、
「下野杜氏 新酒発表2011」へ行ってきました。

杜氏、と聞くと「南部杜氏」「越後杜氏」などが
頭に浮かんできますが、栃木県(下野の国・しもつけのくに)の
「下野杜氏」をはじめ、各地に○○杜氏という杜氏集団が
多数存在するものなのだそうです。知りませんでした。。

今回「下野杜氏 新酒発表2011」へ出かけた理由は、
ニッポンのワザドットコムで下野杜氏の造る酒「澤姫」の
蔵元である井上清吉商店さんを取材させていただく予定に
なっており、ご挨拶をかねて取材の段取りを、
させていただこうと考えて。。。だったのですが、
この発表会も、井上さんの「澤姫」のブースも大盛況で、
お忙しい時にお伺いしてしまったな、とちょっと反省。

それでも、はじめてこのような会へ参加してみて、
日本酒ファンがたくさんいるということ、そして今まで
蒸留酒を主体としてきた私の酒遍歴を変えそうな「日本酒の魅力」に
開眼することができたのは大収穫でした。

いくつになっても新しい世界を知るというのは、胸躍るものですね。

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会場入り口

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ずらりと酒瓶が並びます。斗瓶が花器に!!

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27社が新酒を出品

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このようにお弁当を片手に、各蔵元のブースを回ります。
お弁当には益子焼のお猪口が付いており、これにいただきます。

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「澤姫」さんのブース。「澤姫」はインターナショナルワインチャレンジ2010(開催地:ロンドン)
SAKE部門「吟醸・大吟醸の部」で、大吟醸世界一の称号「チャンピオン・サケ」を
受賞しています。すべて試飲させていただきましたが、どれも個性的。なかでも、
スモーク香のする「澤姫 きもと純米 無濾過生原酒」に衝撃を受けました。何度も
おかわりをしてしまいました(#^_^#)みなさま、おすすめです。

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大盛況の会場。20代とおぼしき若い女性の姿もたくさん。

チケット(3500円)を購入すれば、一般の方が入れる会です。
毎年行われているとのことですから、来年のこの時期、
ご興味のある方はお出かけになってはいかがでしょうか。
楽しいですよ。



2011.05.13 / Top↑
坂の上の雲(八)
司馬遼太郎
文藝春秋
2008年12月第25刷

国と国の戦争に「正義」など無いと思うし、
兵士であれ一般人であれ、五体千切れ飛ぶ戦場は、
見たくない。想像すらしたくない。
戦争をする以外に本当に解決方法は無かったのか。
その方法を模索することが「進歩」なのではないかと思っている。
だから、決して戦争を礼賛するつもりはないのだが、
いやいや、連合艦隊はかっこ良かった。

一巻から七巻まで、東郷のどこが凄いのか分からなかった。
が、これまでの沈黙は、この一時のためにあったのか、と合点が行った。

敵艦見ユトノ警報ニ接シ、聯合艦隊ハ直ニ出動、之ヲ撃滅セントス
本日天気晴朗ナレドモ浪高シ

皇国の興廃、此の一戦に在り。各員一層奮励努力せよ。

この漢文調の電文がまず、ぞくぞくする。

そして、敵前回頭。

OLであった時代、おじさまたちが、企業間競争と過去の戦争を
重ねあわせて語ることに不思議を感じていた。
しかし、ヒト・モノ・カネ・ジョウホウの経営資源において、
何が競合に劣り、何が勝っているかを踏まえ、
勝てる戦略・戦術を考える時には、確かに、
過去の戦争に学ぶことは多いと、今になって思う。

しかし、今後のことだが、恐らく競合を蹴落として
自社だけ生き残るという戦略はなくなるのだと思っている。
市場が成熟しモノもサービスもあふれてくる時代、
それぞれの企業の雇用を守るという意味でも、
共存共栄を意識した企業活動が求められるし、
意味のある消費=エシカルな消費に向かう時代、
企業の社会に対する姿勢は、じっと消費者に注視される。

この本を読んで、こんなことを考える人は多いのかどうか分からない。
が、私にとって「坂の上の雲」は小さな組織が、市場に受け入れられ、
存続して行くための戦略・戦術、特には「組織」「リーダー」について
多くの示唆を与えてくれた。
もう一つ、日本人の底力についても、誇りをもたせてくれた。

足掛け3年で読了しましたが、確かに名作。

それにしても、これを書き終えた時の司馬さんって、
私よりも年下だったのね。すごいな。

坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)坂の上の雲〈8〉 (文春文庫)
(1999/02)
司馬 遼太郎

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2011.05.11 / Top↑
日々是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ
森下典子
新潮文庫
平成20年11月

森下さんはエッセイスト。私より少しお姉さんだ。
その森下さんが20歳から始めた「お茶」。
以来25年もの月日、週に一度「お茶」のお稽古に通う中で、
気づいたことをしたためたのが、このエッセイ集。
解説は「感動の読了をした」という小三治師匠が書いている。

読みながら、30歳前後、やはり「お茶」と出会い、
数年、磐田市公民館のお教室に通っていた自分と重ねあわせていた。
森下さんの心の動きと同じ。
想像していた「有閑マダム」のお遊びでは決して無かったっけ。

当時、私は縁の薄い土地で一人、人生の袋小路に迷い込んでいた。
足掛け四年もの時間を袋小路で過ごすことになる。
努力では乗り越えられない壁があることを初めて知ったし、
どうにもならないことを知っても自分が描いていた人生の道筋から外れて生きることは、
どうしても受け入れられずにいた。
そんなとき、皮肉にも袋小路に招き入れた方の人に誘われ、
名古屋の徳川美術館で、利休の「泪(なみだ)の茶杓」を観た。
武士に憧れ本当の意味では武士になれなかった秀吉と、
町人ながら武士のように毅然と潔く人生の幕を下ろした利休。
最後の茶会で利休が削った銘を「泪(なみだ)」という茶杓に打たれ、
敬遠していた「お茶」の世界に入って行った。

昼間、きんぴらごぼうを作りながら、
気がつくと考えても仕方の無いことを考えほろほろと泣いていたりした。
だけれども夕方、公民館のお茶室に入り、お釜の松風を聞くと、
ネガティブな気持ちがすーっとどこかへ行ってしまった。
確か「お茶の心理学」という本に、お茶室は母の子宮であり、
松風は子宮で聞く大動脈の音。だから落ち着くのではないかとあった。
森下さんも書いていらっしゃるが、お手前の手順を追っていると、
余計な考えは頭から出て行く。ただ、そこに自分がいるだけ、
という境地ににたどり着く。
お茶に救われていた頃、仏像の本やら、禅の本やら、精神医学の本やらを読みあさった。

ある事件があり、はっと気づいた。
回れ右、して袋小路に背を向けることができた。
それまでは偏差値50の生き方に執着していたけれど、
偏差値10だって偏差値80だっていいんじゃないの、と
思い通りにならなかった自分の人生を許すことができた。

いまは、攻めの人生。
リスクも大きいけど、安全なレールの上を走る生き方は
自分には合っていなかったのだということが、よーく分かって来た。

「お茶」は禅の修行の一つ。

目からうろこを落としたいなら、一つの方法として、ありです。

日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)日日是好日―「お茶」が教えてくれた15のしあわせ (新潮文庫)
(2008/10/28)
森下 典子

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